- 2025年5月14日
その腹痛、もしかして食中毒や胃腸炎?知っておきたい症状・原因・対処法
こんにちは。院長の宗形です。
みなさまお変わりなくお過ごしでしょうか? 最大で11連休だった今年のゴールデンウイークも終わり、急激に気温が上がってきました。
まもなく梅雨になり、これからじめじめした季節を迎えますが、高温多湿で心配なのが食中毒です。
最近は特に蒸し暑い夏が多く、コロナ禍以降は食事のデリバリーサービスも増えているため以前よりも注意が必要です。
そこで、小滝橋そら内科クリニック医療情報第一号は食中毒・胃腸炎についてお伝えしたいと思います。
「急にお腹が痛い」「吐き気がひどい」「下痢が止まらない」――そんな症状があったら、食中毒を疑います。ここでは、食中毒の原因や症状、家庭での対処法、病院に行くべきタイミングについて解説します。
■ 食中毒ってどんな病気?
食中毒とは、細菌・ウイルスなどの病原体、それ以外にも毒素・寄生虫・化学物質などが体内に入った結果、下痢・腹痛・嘔吐・発熱などを引き起こす病気です。
食中毒のうち細菌やウイルスなどの病原体による感染が原因で生じるものを感染性胃腸炎と総称します。
多くは数日で自然に回復しますが、重症化すると脱水症や腎障害など、命に関わるケースもあるため注意が必要です。
■ 食中毒の主な原因と時期

主に以下のような原因があります
● 細菌:夏に多い
高温多湿の時期に増えやすく、鶏肉や魚介類、調理器具などから感染します。
例:サルモネラ菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオ
● ウイルス:冬に多い
ノロウイルスが代表的で、牡蠣や2枚貝、手指からの接触感染が主な原因です。
症状は嘔吐・下痢が中心で、家庭内で感染が広がりやすいのが特徴です。
● 自然毒・寄生虫:通年注意
フグ毒やキノコ毒、アニサキスなども原因になります。新鮮な食材でも油断は禁物です。
■ よくある症状と受診の目安
食中毒の症状は次のようなものがあります:
- 強い腹痛・下痢
- 吐き気・嘔吐
- 発熱
- 倦怠感・脱水によるめまいやふらつき
食中毒や胃腸炎で発熱は起こるのか、という質問を時々いただきますが、多くは細菌やウイルスによる感染症であり発熱を生じることはよく経験します。人によっては高熱になる場合もあります。
これらの症状が1~2日で軽快する場合は安静と十分な水分補給で対応可能ですが、以下の症状がある場合は医療機関の受診をおすすめします。
- 水分が取れない/ふらつきなどの脱水による症状が強い
- 高熱が続く/血便が出る
- 症状が3日以上続く
- 高齢者・乳幼児・妊婦・持病がある方が発症した場合
■ 自宅での対処法と注意点

軽度の食中毒では、以下の対応が有効です:
- 水分補給(OS-1などの経口補水液やポカリスエット等のスポーツ飲料がおすすめですが、難しければ水やお茶でもよいのでしっかりと水分を取りましょう。)
- 消化に良い食事(おかゆ・うどんなど。茶わん蒸しやゼリーやプリンなど、のど越しの良いものもおすすめです。)
- 安静にして体力の回復を図ってください
注意していただきたいのは「下痢止め」の使用です。こういった薬は腸の動きを抑えるため、体外に出るはずの病原体や毒素を閉じ込めてしまい、悪化するリスクがあります。安易に服用せず、医師にご相談ください。
■ 食中毒の予防ポイント
食中毒は予防がとても大切です。家庭でも以下の点に気をつけましょう:
- 生肉や魚はしっかり加熱して火を通す
- 包丁やまな板は生もの用と加熱済み用で分ける
- 手洗いをこまめに行う(ノロウイルスなどはアルコール消毒の効果が乏しいため、流水での手洗いがおすすめです。)
- 食事の作り置きはせずにすぐに消費し、難しければ早めに冷蔵・冷凍保存する
- 手指に傷があるときは手袋を使用する(傷口にブドウ球菌などの細菌が繁殖し、食中毒の原因になることがあるため)
最近は食事のテイクアウトやデリバリーが増えており、調理から食べるまでの時間が長くなることで食中毒リスクが高まるケースもあります。そのため、到着したらすぐに食べるようにし、保存の際に早めに冷蔵して、場合によってはしっかりと再加熱も検討しましょう。
■ まとめ
食中毒は誰にでも起こり得る病気です。一般的には抗生物質などは不要で、安静と水分摂取で改善することがほとんどですが、食事や水分が全くとれなかったり、脱水による症状が強いときには点滴などをしたほうが良いこともあります。
自宅で経過をみてもよくならず、少しでも不安な症状があれば自己判断せずに早めに小滝橋そら内科クリニックへ相談してくださいね。