• 2025年7月28日
  • 2025年7月29日

帯状疱疹はワクチンで予防しましょう! ~つらい痛みを伴う合併症を予防するために~

帯状疱疹とワクチンでの予防について

院長の宗形です。今日は帯状疱疹とワクチンについてご説明いたします。名前は聞いたことがあるけど、どんな病気だろう?という方、実は結構怖い病気です。ぜひ参考にしていただき、しっかりと予防することがおすすめです。

帯状疱疹とは?

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、子どもの頃にかかった「水ぼうそう」のウイルス(正式には「水痘・帯状疱疹ウイルス」といいます)が、何十年も体内に潜伏した後、加齢・ストレス・疲労・病気などで免疫が低下した際に再び活性化し、皮膚に症状を起こす病気です。

主な症状は、体の片側に限局するピリピリした痛みと、帯状に出る赤い発疹や水ぶくれです。
神経に沿って現れ、治療が遅れると痛みが長引いて後述する帯状疱疹後神経痛(PHN)などの合併症を引き起こすことがあります。

「そのうち治るだろう」と受診が遅れ、重症化してしまう方も少なくありません。


特に注意が必要なのは50歳以上の方

下にお示しするように、年齢とともに帯状疱疹の発症リスクは増加します。
実際に、3人に1人が一生の内に発症すると言われています。

✅ 免疫正常者の年間発症率(海外のデータ)

年代年間発症率(人/1,000人・年)
18–29歳約 1.2
30–39歳約 3.1
40–49歳約 4.0
50–59歳約 5.7
60–69歳約 6.7 ~ 8.4
70–79歳約 8.4 ~ 10.2
80歳以上約 10.9 ~ 13.9

※日本でも同様に、加齢とともに帯状疱疹の発症が増加することが分かっています。(Toyama & Shiraki, 2009)。


帯状疱疹の主な合併症

1.帯状疱疹後神経痛(PHN)

皮膚症状が治っても強い神経痛が数ヶ月~数年も続くことがあり、日常生活に支障をきたす場合もあります。これを「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼びますが、この神経痛は非常につらく、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。

2.眼部帯状疱疹

帯状疱疹が目の周りにできてしまうと、周囲の皮膚やまぶた、眼球そのものに影響を及ぼすことがあります。その結果、角膜の潰瘍や眼球運動障害、目の炎症をきたして視力低下につながることもあります。

3.ラムゼイ・ハント症候群

帯状疱疹が顔面神経の支配領域で生じると、耳の痛み・顔の神経の麻痺・味覚障害・耳鳴りなど多彩な症状を呈することがあります。


帯状疱疹はワクチンで予防できます

この様にやっかいな帯状疱疹ですが、ワクチンで予防が可能です。

現在、日本で接種できるワクチンは次の2種類です。

ワクチン名種類接種回数効果と持続期間
ビケン生ワクチン1回1年で6割、5年で約4割の予防効果
シングリックス不活化ワクチン2回(2〜6ヶ月間隔)5年で約90%、10年で約70%の有効性

ビケンは1回接種で済み手軽ですが、効果はやや控えめです。
シングリックスは高価ですが、高い予防効果と長期間の有効性が期待できます。
また、がん治療中や免疫抑制中の方も接種可能です。

🌟 宗形の個人的なおすすめ:費用と2回打つことが許容できれば効果と持続期間が高い「シングリックス」がおすすめです。


小滝橋そら内科クリニックでの接種について

当院では、ご希望に合わせてビケン・シングリックスのどちらでも接種可能です。

💉 接種方法と費用(2025年7月現在)

① 自治体の助成制度(任意接種)

  • 対象者(例:新宿区)
     区内に住民登録のある50歳以上の方
  • 自己負担額
     ・ビケン:4,000円
     ・シングリックス:10,000円/回(計20,000円)

※対象年齢・金額は自治体によって異なります。詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。

② 国の定期接種(令和7年〜)

  • 対象者
     ・65歳になった方(※65歳以上ではなく、65歳の方です。要注意です。)
     ・経過措置:70, 75, 80, 85, 90, 95, 100歳の方(R7~R11年度まで)、R7年度は特例で100歳以上の方は全員接種対象です
     ・60〜64歳で身体障害1級相当の方も対象
  • 自己負担額
     ・ビケン:4,000円
     ・シングリックス:10,000円/回(計20,000円)

③ 自費接種

  • 対象者
     全年齢で希望される方
  • 費用
     ・ビケン:9,000円
     ・シングリックス:22,000円/回(計44,000円)

よくあるご質問

Q. 以前に帯状疱疹にかかったのですが、ワクチンは必要ですか?

A. はい、必要です。
一度発症しても、帯状疱疹は再発する可能性があります。特に高齢者や免疫力の低い方では、再発リスクが高まります。

また、1回目よりも2回目の帯状疱疹の方が重症化したり、神経痛が残りやすいケースもあります。

(ココだけの話、実は私も2回経験しました…1回目は背中、2回目は左肩から首にかけて発症し、本当に痛かったです。汚い写真で申し訳ありません。)

また、若年者での帯状疱疹や複数回の帯状疱疹を繰り返す方は免疫の低下をきたす糖尿病やHIV、悪性腫瘍などが潜んでいる場合もありますので、体調によってはそういった病気の検索が必要なこともあります。 現在の研究では、シングリックス接種によって再発のリスクを有意に減らせることが示されています。そのため、すでに帯状疱疹を経験された方も、再発予防としてワクチン接種が推奨されています

Q. 帯状疱疹ワクチンの副反応にはどんなものがありますか?

A. 認可のための試験実施中にシングリックス接種後、7日間に生じた主な副反応は以下の通りです。

多くは3日以内に収まるとされています。

ただし、接種直後に重篤な副反応が出ないかを確認するため、接種後はビケン・シングリックスともに30分間、院内で待機していただきます。接種の際にはお時間に余裕を持っていらしてください。

部位副反応割合
注射した部位痛み78%
赤み38%
腫れ26%
注射部位以外筋肉痛40%
疲労39%
頭痛33%
悪寒24%
発熱18%
胃腸症状(吐き気・下痢など)13%

最後に

帯状疱疹は加齢とともに誰でもかかりうる病気であり、ワクチンによる予防が可能です。
当院では、できる限りいつでも接種できるよう在庫を確保しています。

ご希望の方やご質問のある方はお気軽にお問い合わせください。

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